3月も半ばを過ぎた頃、就職活動大失敗!という状況の私はお世話になった教授と研究室で話していました。



「ウメちゃんこれからの予定とかたってるの?」

「いえ、全く、全然です。路頭に迷う寸前です。」

「3月いっぱいで○●さん(前任者)辞めるんだけど、ウメちゃん次来る?」

「あ、いいですかー?じゃあよろしくお願いします」



と、私の就職活動はそれまでの苦労をあざ笑うかのようにあっさり2分程度で決まったので、安心しつつ心の中で「もっと早く言ってくれれば春休みとか遊べたのにさ……!」と、恩知らずにも程があるようなことを思っていました。


で、時は少し流れて3月の終わり。教授と私は研究室でこれからのお仕事について話し合いをしていました。そのひとつに契約年数について。というものがありました。



「ウメちゃんは余計に学校にいたから知ってると思うけど、この仕事は2年契約なんだよね。」

「うふふ先生、言葉に少しトゲがありますけど、よく知ってますよ。」



この仕事は若い卒業生をバックアップする、という側面も持ち合わせているため、なるべくたくさんの卒業生にその仕事を回せるようにと、予め契約年数が設けられているのです。(その実バックアップどころか普通に働きながら研究した方がマシなんじゃないの?という事に私が気付くのはもうちょっと先の話でした)




「でね、今年から申請すれば3年に延ばせるようになったみたいなんだけど、どうする?」

「いいですよ、2年で。どうせその頃には結婚してめでたく寿退校しますから」

「フォッフォフォフォそうかそうか」

「ふふふそうですよ」

「フォッフォッフォフォフォ」

「ウフフフフフ」




そして今日。
あら、先生今日何だかやけに早い出勤ですね、おはようございまーす。



「はい、ウメちゃん」

「何ですかこの書類」

「契約延長書。僕の判は押しといたから、あとウメちゃん書いて事務局持って行っておきなさい」



あれー?先生、私、まだ半年しか働いてませんよ。まだ、寿退校、あきらめて、無いんだけどな……。1年半も、残ってるのにな……。


(でも正直わが身を振り返ってみて、寿退校とか現実離れにも程がありすぎるので、この不況の折、延長はありがたかったです!)