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私の同級生S君は現在ムカデにさされて入院しております。
幸いな事に命に別状は無いそうですが、服と背中が当たるだけでも地獄の苦しみらしく、それはそれはかわいそうだとは思うのですが、元々私は彼に対して大変冷たい人間ですので、「そんな辺鄙なとこにいつまでも住んでっからだろアホ」と、一緒にいたこれまた同級生且つ現同僚のWちゃん(激烈サド)と心配しまくった反動で大部屋のほかの人達が仰天するくらいの罵倒を浴びせた挙句、お土産で持っていった果物も食べ尽くして帰りました。でもS君はWちゃんの事が実は昔から好きで、しかも結構なマゾヒストだという事も私は知っていたので、ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべるS君は大層気持ち悪く、憎しみすら沸いてきたりもしました。
で、そんなS君ですが、大学にいた頃はそれなりに彼女がいたり、告白されたりしていました。ここで重要なのはS君は決して格好良い訳でもなく、服装センスが良い訳でもなく、性格も優しいことをのぞけば決して良くなかったという事です。
大学には本当に男がいなかったので、女子校における男性教諭のような現象が発生しており、そんなS君にもそれなりな事件がそこそこに起こっていたのです。
S君に惚れてしまうのは大抵、他学科の、何か良く分からないけど喫煙所とかで話しているうちに・・・。というようなささやかなきっかけ型ばかりで、ずっと友達だったけど、いつの間にかアタイあんたに惚れてたみたい・・・。という親密なところからこつこつ型のシチュエーションは絶無でした。
なぜならS君は異様に哲学に傾倒しており、ソクラテスの「疑問法」(人がどういうことに対して疑問を感じるかという事を分析してその人となりを理解する方法)等を私に小1時間もしたり（やられると本当に腹が立ってきます）、個人プレゼンの書類に上半身裸に赤いバンダナを巻いてキツネの剥製を持った己のコスプレ写真を添付していたりと、いくら「男の好みが左斜め下」とクイーンWちゃんに診断された私で、たとえ贅沢を言えない身分であったとしても、ありえない男子であったのです。スメルも独特でしたし。
でも仲は良かったので（いとこのような仲でした）（別にそこまで好きではないけどもなんだかんだで一緒に過ごしている）、昨日も書きましたがよく一緒にご飯食べたり、教室でだらだらしたりしていたのです。で、3年前の話になります。
まだ学生だった私は、教室か研究室か食堂の３つをローテーションで回るだけという構内ひきこもり状態で、その時もお腹が空いたのでカレーでも食べようと食堂に行こうと中庭を通っていたのです。
そしたら、
「ちょっと！○○さん（←私の苗字）でしょ！」
と、知ってるような知らないような女の子が凄い形相で私の肩を掴みましたので、
「はあ、そうですけど」
と答えるかどうかという瞬間、
「この泥棒！！！」
って、思いっきり平手で殴られました。えーーーーー！！？？何で！！？？カレー！食べようと！思ってただけでしょーーー！？？痛い！頬が燃えるように痛い！！
パニックになる私。ヒステリーにいろいろ泣きながら怒鳴ってる女の子。ど、ど、どゆこと？何？何で向こうが泣いてるの？わー！人がたくさん遠巻きに見てるよ！！！
「ウメーーーー！あんたどうしたの？」
と、そんな中先に食堂に行っていた友達がやってきました。
「や、や。何か叩かれてさ、つうかアナタどなた？」
泣きじゃくる彼女。泣きたいのはこっちです。すると、友達が
「あ、この娘S君の彼女だよ」
と言うではありませんか。
S君の彼女＋私を殴る＋「この泥棒！」＋泣いてる
泥棒？ＤＯ ＲＯ ＢＯ Ｕ？
えーーーーーーー！！！！サカタを取った(＝浮気した)事になってルーーーーー！？？？？
と答えが分かった瞬間大笑いしました。泣いてる彼女には大変もうしわけなかったかもしれませんが目の前で大爆笑。横で友達も吹き出してました。
「ありえない！ありえないし！！！！絶対やだよーーーーデェヤッハッハッハッハ。あははおーなーかーハハがーいーアハハたあい」
ちょっと叩かれたアレでおかしくなってたのでしょう。芝生の上をのた打ち回って大笑いしましたから。「あれと付き合うくらいなら私はレズビアンになる」と日頃周囲にも、そしてS君本人にも言いまくってる相手との浮気疑惑。いやー人生って本当に面白いですよね。(晴郎)
で、そんな私と友人の態度を見て、彼女は早とちりした事に気付き、凄い勢いであやまってくれました。カレーも奢ってもらいました。次の日私の頬は漫画における虫歯になった頬のような腫れ方をしてしまい、怒りの矛先は当然S君。彼を見つけるなり回し蹴りをしたのも今となってはいい思い出です。
と、この事を昨日病室で話していたのですが、
「言わなかったけど、あのキックで血尿が出たんだよ」
と言われました。でもその時バナナを食べていたバイオレンスWちゃんに「人が物食ってる時血尿とか言うな」と脳天チョップ食らわされてました。本当にそれでも生きてて良かったと思いました。
