わたしはごはんとかお菓子とかお茶とかお酒とかとにかく食べたり飲んだりすることがとても好きでして、好き嫌いもおかげさまで困るほどありません。唯一口にできないのがコーラなのですが、これものまなくてはいけない・・・!という事態におちいったことは生きていてこのかた炎天下のインドでのみものを求めてマクドに入ったらつめたい飲物がコーラしかなかった!という時だけでしたので、この先特に気をつけていれば大丈夫だと思います。(その時むりやり飲んでみましたが一日胸焼けを起こしてなにも食べられなくなりました)


話がそれましたが、とにかく食べ物飲物大好きですので、本とか読んでいてもちょっとでもおいしそうな食べ物とかが出てくるともうそれにうっとり、ストーリーとか中断してその食べ物に思いをはせてしまいます。それもその食べ物の表現がおいしそうであればあるほど心はそこへ。そして食べられないジレンマにおちいってムキー!となります。今のところ食べ物の表現においてナンバーワンは池波正太郎です。葱だけのお味噌汁(根深汁という名前で出てきます)が世にも見事なご馳走に思えてきます。読んでいて思わず夜中の2時にもかかわらず我慢できずに作った覚えがあります。他にも鯛めしとか鴨の卵とじとか、秋の夜長に絶対読んではいけないのです。秋は食欲の季節ともいいます。


あと本の世界で登場して、どうしても食べられない、飲めない架空の食べ物はよりいっそうわたしを悩ませます。ああ、あれはどんな味なんだろう!そんなわたしの「多分無理だろうけどできるなら一度口にしてみたいものです」というものが、

1、中島らも「今夜すべてのバーで」
主人公が夢の中で飲むお酒。紫色のつぶを水にいれたらできるお酒です。「花の精のような芳香、上質な果実の持つ酸味、ほのかな甘み」なんですって!しかも酔い方もほんのりとしていてそんなお酒あるわけないじゃない!!と思いつつもそのくだりを読んでしまうとついうっとりしてしまいます。

2、寺村輝夫「王さまのくいしんぼう」
食べ過ぎの王様のためにコックが苦労してつくるおやつ。「かみよりうすいたまごせんべい」「あつさ2ミリのいものコロッケ」「はりよりほそいにんじんスナック」小学校のとき読んで以来17年くらい忘れられません。それをまた王様がおいしそうに召し上がりましてキー!と思いながら読んでいました。

3、宮沢賢治「やまなし」
川におちたやまなしはほっといたらしずんでくさってゆくゆくおいしいお酒になるとかにのお父さんがいうてました。その言い方がまたわたしの心をわしづかみにして、これまた小学校以来忘れられません。大人になってお酒をわりと飲むようになりましたが、たぶんこの味にはかなわないと思われます。


あとはみんなも大好きぐりとぐらのホットケーキとかちびくろさんぼのパンケーキとかもありますが、上記3つにかなうものは今のところありません。2、3にいたっては小学生の時から15年以上思いをはせておりますのでわたしの食い意地の年季といったらないのだなあと改めて思ったしだいです。